うーむ、これはヤバイよなぁ。
タイの最南部のイスラム圏での住民と警察との衝突はなかなか収まらないのだが、今回、警察がこのスシ詰め大量圧迫死を引き起こしたおかげでますます事態は悪化するに違いない。
バンコクにまでは影響はないだろうとこれまでは思っていたのだが、この警察の暴動住民に対する扱いは、先般の銃撃戦による100人強の若者射殺以上のインパクトがあるだろう。トラックへの詰め込みの様子、護送中の5時間の悪路走行での荷台の中の様子を想像すると、犠牲者の遺族は、怒りを抑えることはできないだろう。かろうじて生き延びた人間は上下前後左右を死者に密着されたまま身動きもできず声も出せず車に揺られていたのだ。
警察は故意に、あるいは逮捕者たちを人間扱いせずに、このような地獄図を作り出した、と考えるのが普通だろう。護送中に憂さ晴らしの拷問をしたことに等しい。数十年前のナチスやカンボジアの虐殺を想像してしまう。人権問題としても、世界中からタクシン政府は非難を浴びるだろう。せっかく先進国イメージを必死で作ろうとしてもこのような事件、事故があるとどうしようもない後進国であると周りの国々に思われるだろう。国のイメージも地に落ちる。
タイではトラックに農産物でも建築部材でもともかく、限界まで過積載するのは日常茶飯事だが、人間の過積載は想像できない。そもそも1000人を何台のトラックで運んだのだろう。1台につき数十人くらいだったらとても圧迫死するような重みではないだろうから、1台に100人以上は乗せたのだろう。台数が足りなくて、無理やり詰め込んだのだろう。
たまに、豚を過積載したトラックが走っているのを見る。もちろん豚は足で立っていない。数十匹の豚が腹ばいになったり横になったり、顔と足や尻が隙間なく詰まって、力ない顔で目をとじ、足も動くすすべもなく、無秩序にぎっちり重なり合っている。人間がそういう状態になっている、と考えるといやになってくる。
楽園にもこのような現実がある、ということを痛感し、このサイトのタイトルも変えてしまおうかと思った。この事件が他の町のイスラム教徒地区に広がらぬよう、テロにつながらぬよう心から祈る。亡くなった人々のご冥福を祈る。
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