勢いで4連発と書いてしまったのだが、4つのネタを書くのは大変だ。
さて息子ネタ最終回はカブトムシ採りツアーの話。
タイは特にカブトムシが多い、というわけではないだろうが、自然が多いだけに都会から少し離れるとカブトムシも普通に野生している。私の子供のころと同じように、田舎の子供たちはカブトムシやクワガタをそこらの林に行って採ってくる、ということを日常のようにやっているのだろう。ただ、バンコク市内ではさすがに探すのは難しい。そこで、日本人向けツアー会社がタイ在住日本人家族のための、カブトムシ採りツアーを企てている。12月頭までが旬の季節、ということで、ぎりぎりに申し込んだ。今回は息子と二人きりでの初めての1泊旅行となる。男同士の絆を強めるべきだとか、母離れも必要だとかカーちゃんはいっているが、密かに留守中はお友達と買い物の約束をしていたことを私は知っている。
ともかく、バンコクから車で3時間のリゾート地、フアヒンのホテル(1泊朝食付きスイート1室6000円也)で、「ホテルの庭でカブトムシ採り放題」と書いてあるツアーに申し込んだ。しかし、電話で申し込んだときからすでに、「もう皆さん採り過ぎて、今は庭にはあまりいないんですが、現地で近くのいっぱい採れるところまで案内しますからご心配なく。」といわれたので心配になったが、決行した。
ドライバーに休日出勤をたのみ、土曜日朝にフアヒンまで送ってもらい、日曜昼にまた迎えに来てもらうことにした。昼ごろつくと、現地コーディネーターの日本人が、カブトムシ採りは明日の朝7時集合でバスを出しますので、今日はごゆっくり、とのこと。庭にはもう1匹もいないんですか、と聞くと、自信を持って、はい、もう全然いませんよ、ツアーを始めてあっという間に全滅ですね、皆さんすごい数採って行きましたからねぇ、といわれた。探したら1匹くらい見つかりませんかね、今日の午後することないし、というと、バッタぐらいいるでしょう、カブトムシはいませんけど、とまた断言された。息子はなんだかオヤジを黙ってにらみつけていたので、じゃあ、あしたバスで行くところにはいっぱいいるんでしょうね、と確認すると、それは大丈夫です、ただ、もう季節も終わりだし最近は一家族7-8匹までに制限させてもらってますので、よろしくご協力ください、とさらりと言われた。とーちゃんとしては、それで十分でそれ以上採って来ても困るので問題はないのだが、息子は引き続き無言でオヤジをにらんでいた。去年、息子の友達が同じツアーで30匹ほど採って帰ってうちにも2匹分けてもらったことがあるが、そのときのその家族の飼育とおすそ分けに関する苦労をカーちゃんは聞いていたので、かーちゃんからも10匹以内にしてね、と頼まれていた。つまり私はにらまれる役がわたしでなく、オヤジになったので、実はとてもほっとしていたのだ。
恐がりの息子が果たして野生のカブトムシを掴めるのか、という疑問もあったが、ともかく翌日朝、バスで5家族位の日本人と私ら父子はカブトムシ採りに出発した。2人兄弟、3人兄弟が多かったので、1家族7-8匹というと父一人、子一人のうちは優位に立つ、とほくそえんだ。
20分ほど走った道路の脇でまずバスは止まった。昨日のコーディネータオヤジが街路樹をしばらく見つめて、次いこう、とドライバーに指示し、またバスは動き出した。心配ないですよ、まだまだいますから、さっきの木は4-5匹しかいなかったんで、もうちょっと行きます。
2-3度同じことを繰り返し、息子がまた無言でオヤジをにらみ始めたころ、はい、じゃぁ皆さんおりてくださーい、といよいよ場所が決まったらしい。
「それでは、皆さんまず、車に気をつけてくださいね。あせらないでいいですから。じゃぁ、私らが木からカブトムシを落としますのでちゃんと拾ってくださいねー、車には気をつけて。」
うん?どういうことになんの?と悩む暇もなく、運転手が突然長い物干し竿を取り出し、高い木の枝を揺らし始めた。そのとたんに、上から黒いものが、ぽとん、ぽとん、ぽと、ぽと、ぽとぽとぽとぽと、と次々に落ちてきた。はーい、皆さんあせらないでとってくださーい、とオヤジが叫ぶまもなく、子供たちはきゃー、と歓喜やら悲鳴やらわからぬ声を上げて、大騒ぎが始まった。一家族7、8匹取ったらおわりにしてくださいねー、それとメスは1匹だけにしてくださーい、来年のことを考えてねー。オスはいいですよ、つののでっかいやつねー。
案の定うちの息子は奇声はでかいが、おとーさん、おとーさん、こっちこっち、これとって、これとって、あっ、こっちもこっちも、と自分は手を出さず指揮官と化した。自分で採りなさい、とか教育をしている暇はない。ライバルのにーちゃんたちに採っていかれないよう、兵隊のおとーさんはカブトムシ拾いに集中しなければならない。地面の枯れ枝にしがみついているカブトムシを引っ剥がすのには結構苦労する。強く引きすぎると足がもげそうだ。くすぐりつつ足を開かせて斜めにはずす、とか、だんだんカブトムシひっぺがしの技を習得したころに規定の7-8匹になった。ちゃんと数えてみると8匹で、メスも1匹ちゃんと入っていた。ものの10分の戦いだった。ともかく息子は興奮していたので、一応任務は達成した。
どうも、息子はカブトムシを採る行為には興味はないらしい。ただ、捕まえたカブトムシをうれしそうにみながら、あーだこーだ、言っている。
無事、カブトムシ採りならぬカブトムシ拾いは早々と終了し、息子は帰りの車の中でもごぞごそうるさいカブトムシを見つめながら、寝てしまった。自然とのふれあい、といえるようなものではなかったが、お気に入りのおもちゃが8つ手に入った、ということか。8匹だと友達におすそ分けするには足らないので、息子は1日学校に持っていってみんなに見せびらかして持って帰り、今もえさと水やりを一応続けている。そろそろいつ見ても土から出てこない奴が出始めている。これから、命とは、の教育方法について考え始めなけばならない…。
えーと、餌は子供用の駄菓子のゼリーです。ガンガン食べます。
箱は2つに分けていて、小さいほうに一夫一婦、大きいほうに野郎だけ6匹。夜中によくけんかしているようで、がさがさとてもウルサイ。
投稿情報: ttokumo | 2004-12-22 21:49
8匹のカブトムシ……七夫一妻は、
どんな環境で暮らしているのでしょうか。
興味津々。
みんな、何を食べるんですか?
マンゴー?
ドリアン?
それともやっぱり、虫ゼリー?
ちなみに、わが家では、母、息子、嫁の暮らしが
クリスマスイブから始まります。
(……飼い猫の話です)。
か
投稿情報: kazue | 2004-12-22 21:13