TSUNAMIの被害は大変なことになっている。
CNNでは各国合わせて死者80000人超、といい、タイでは30日現在では死者1900人だが、行方不明者が4000人以上いるという。
もっと怖いのは被災地での飲料水,食料、医薬品不足と不衛生環境による伝染病の流行による今後の犠牲者増加である。生き残れた被災者たちもまだ安全ではないのだ。プーケットは開発済の観光地だから復旧も支援も早いだろうが、インド,スリランカ、インドネシアは支援活動も困難なようだ。
会社でDonationしよう、と誰かが回ってきて、唯一の金満日本人としては大判振る舞いをしたが、それで心休まることはない。明日から私ら家族はのんきにサムイ島の高級リゾートに正月休み旅行に行くのだ。どうも後ろめたい。
サムイ島もタイの南の方で比較的プーケットに近いといえば近いのだが、日本の本州くらいの幅があるマレー半島を挟んでインド洋とは反対の東側の海、シャム湾に浮かぶ島なので、スマトラの津波は届きようがない。地震は収まっているし。旅行社HISバンコク支社も、全く持って影響ありません、キャンセルは一人も出ておりません、キャンセルしたらお金取りますよ、というので中止にする理由は何もない。でも、当地では24時間全チャンネルで繰り返されている津波被害の映像が目に妬きついた状態で、似たような青い海とやしの砂浜で存分に心の休息ができるのだろうか。まぁ、うちら家族には出来るだろうな。でも、オーシャンビューのホテルの部屋でテレビをつけたら、似たような青い海とやしの砂浜で逃げ惑う人たちの映像を見たら存分に気を休められるのだろうか。まぁ、それでもうちら家族は楽しむのだろうな。それを考えるとそのことに少しへこむが、どうせ息子がそんな気の迷いを起こす余裕などは吹き飛ばすほどはしゃぎまわるだろうから、それが救いかな。回りの駐在員家族ではお正月はプーケットの予定だった人が多く、その人たちが全員旅行キャンセルとなり行き場を失ってバンコクで年を越さざるをえない、というのも後ろめたさの一因かな。多少、自分の運のよさを誇らしく感じるところもなくはないが。ともかく楽しい旅行前夜にどうしても少しだけへこんでしまう私は庶民的レベルのいい人かなと思う。
しかしつくづく残念なのは、ものすごい数の犠牲者が出たことと、もう一つはプーケット近隣のさんご礁が壊滅的打撃を受けたことだ。家やホテルなど人工物は金で復旧できるだろうが、長年かかって出来上がった美しい自然は取り戻すのにながーい時間がかかる。タイの地元紙には、もはや、プーケット回りの観光資源は失われた。プーケットの観光地生命は途絶えた、と書いているものもあるようだ。シミラン島というダイビングの名所もおしまいなようだ。いつか行こうと思っていたので実にさびしい。映画でおなじみの砂浜の小島、ピーピー島は島中の全バンガローが押し流されたそうだ。災害に遭って家族知人を失い、主要産業を失うプーケット回りの皆さんはほんとうにかわいそうだ。ちなみにモルジブの水上バンガローはどうなっているんだろう。次回の旅行予定地だったので、気になるなぁ。
私はそんな皆の不幸に背を向け、息子とサムイの海で戯れる。プーケットにはかなわなかったサムイよ、ついに君の時代が来るのか。
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